映画『モテキ』感想
やたら画面あたりの情報量の多い映画です。
同じく画面あたりの情報量の多い映画、デヴィッド・フィンチャーの『ソーシャルネットワーク』を観ていて連想しました。
サブカル君の主人公 幸世の部屋に、これでもかと詰め込まれたマンガ・CD・DVD等が、作中メタメッセージとして機能しているため、画面の背景に目を凝らすことがしばしばでした。
映画館で観ているのに関わらず、静止して、巻き戻してみたいという誘惑に何度も駆られます。
これは繰り返しDVDで鑑賞するのに向いた作品ですね。製作側もそれを意図してるのでしょうけど。
特筆すべきは、街の描写です。
これだけ等身大に、同時代の街の風景や店をきちんと描いた映画は珍しいです。
若者の街の記号として、安易に渋谷センター街(今は、バスケ通りって言うんですか?)映したり、人通りの多い繁華街のイルミネーションをバックにラヴシーンを演じるというような、定型的な表現は皆無です。
登場人物が歩く街の風景や、行く店の選択に、説得力や必然性を感じさせます。劇中のキャラクターは、このシチュエーションなら、この街の、この店に行くだろうという意味において。
ロケ地の多くが自分が住んでいる下北沢なので良く分かりますが、集合場所や飲食店、店を出てたむろする場所等が、行くお店のチョイスも含めて非常にリアルです。
思わず笑ったのが、下北沢の老舗ロックバー トラブル・ピーチで、幸世と長澤まさみ扮する みゆきが一緒に飲むシーン。
ほとんど廃屋といっていいような建物に入居した場末感あふれるあのバーに、長澤まさみは来ないだろうと、さすがに激しく思いました。たとえ、この映画の中での彼女の役柄が「サブカル最終兵器彼女」だとしても。
おそらく10年、20年経って観返しても、「そうそう、2011年って、こういう雰囲気だったよね」と回顧できる、今という時代を的確に切り取った映画です。
ただ、やはりリアルタイムで観るのがいちばん楽しい映画だと思うので、映画館で観る事をお勧めします。
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