村上春樹と山下達郎の類似性
村上春樹と山下達郎、この二人って、キャリア形成の歩みが似ていると思う。
初期の作品は、自分が好きだったアメリカの小説や音楽を、そのまま日本語に移植・翻訳した作風だったのが、作品を重ねるにつれ、徐々に作品の内包する世界が拡大して、日本的な風土やその歴史性まで照準に収めるようになったところが。
二人とも初期の作品は、風通しが良くて、ヌケがいい。
日本的な風土や文脈から解放された地点で、作品が成立しているから。
村上春樹だと、初期三部作から『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』あたりまでは、カート・ヴォネガットやリチャード・ブロディガンの小説の影響を強く感じるし、文体もこうした小説の翻訳文を意識的に採用している。
山下達郎も、初期の『SPACY』とか『GO AHEAD』くらいまでは、アイズレー・ブラザーズやカーティス・メイフィールドのサウンド的な意匠をストレートに取り入れていて、グルーヴ感重視の洋楽的なテイストが濃厚。
その後、『ノルウェーの森』や『For You』でメガセールスを記録してから、初期の風通しの良さはだんだんと影を潜め、作品の射程が広がり、表現が深化するに従って、日本的な湿度も感じさせるようになった。
ヌケの良い初期の作品の方を評価する、コアなファンが存在するところも似ている。
というようなことを、昨日、代官山で開催された読書会『東京文学サロン月曜会』で話した。
そして家に帰って来て、思い出したこと。
村上春樹の長編『ダンス・ダンス・ダンス』は、シカゴのヴォーカル・グループ デルズのナンバーからタイトルを取ったと、本人がエッセイに書いている。
そして山下達郎は、渋谷陽一とのインタビューで、「自分が影響を受けたのは、サウンドはアイズレーブラザーズ、ヴォーカル・スタイルはデルズ、アティチュードはラスカルズ」と語っていた。
デルズ繋がり。
相当マニアックな黒人音楽ファンでないと聴かないグループでなぜか符合があった。
やっぱりこの二人って、やっていることが近いのかも。
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